『世にも奇妙な物語』で、あの不安な気持ちになるメロディから始まるテレビ番組を見ていた方ならとても懐かしくなる漫画集。
「世にも奇妙な物語 マガジンコミックス編」から、第一話の「美女缶」のあらすじと感想をご紹介します。
缶詰を開ければ、寂しい独身男子でも「あなただけを愛してくれる綺麗な彼女」のできあがり。そんな缶詰を手に入れてしまった高校生・雄太は・・・
世にも奇妙な物語「美女缶」ネタバレ
ブサイクでも美女の彼女ができる!
いかにもブサイク男な同級生の山中が、「どう? 俺の彼女」とその顔面に関係なく美女の彼女をゲットして紹介してきた。
「実はこれ、バイトして買った『美女缶』」
山中は金を貯めて美女缶を手に入れ、夏休みを謳歌するのだという。
「雄太、おまえも彼女ほしかったら『美女缶』買え!」
モテナイ高校生・雄太は山中に言われてその気になってしまう。
恋人がほしいアナタに美女缶
早速、スマホで美女缶のことを調べる雄太。
『弊社ではお客様の多様なニーズに応じた缶詰をご用意しております』
『恋人がほしいあなたには美女缶がうってつけ。
あなただけを愛してくれる素敵な女性が手にはいります』
雄太はサイトの情報を見ながら、高いもので600万円、一番安くても20万円だと知って、到底高校生の自分には手に届かない値段だと考えた。
見切り品を安く手に入れた雄太
だが、雄太はツイていた。
たまたま立ち寄ったコンビニで「見切り品」として売られていた美女缶があり、ギリギリ買える値段だったのだ。
自宅に帰ると雄太は早速、美女缶に自分の名前を書いて、説明書どおりにお風呂のお湯に入れて30分待つ。
名前は「藤川サキ」。女子高生で「彼氏イナイ歴17年」という設定だった。
偽物だから何をしてもいいというわけではない
出てきた女の子・サキは、「ママとケンカして家出してユウタくんのとこしか思いつかなかった」といきなり言い出し、「そういう設定か」と雄太は納得する。
俺のことを好きだという設定なら・・・と雄太は先走ってサキに手を出そうとするが、「やだ!」と怒り出して外へ飛び出してしまうサキ。
「女の子がみんなそんなんじゃないよ?」と公園で泣くサキを見て、雄太は缶詰の女の子だからって何をしてもいいわけじゃないんだ、と悟る。
消費期限を過ぎると消えてしまう女の子
それから二人は、本当の仲のいい恋人同士のように過ごした。
一緒に料理をして、食事をして、花火を見て・・・
だが、雄太はサキの体に「品質保持期限○年7月24日」という数字を見てしまう。
缶詰の「使用上の注意」には、期限を過ぎると女の子は消えてなくなります、という一言が添えられていた。
今日はすでに7月23日・・・明日までにサキに何をしてやれるのだろうかと考える雄太。
そしてサキは美女缶を発見して、自分が何者であるのかすべてを悟ってしまい、今までの記憶がつくりものであることを嘆いて泣く。
雄太はそんなサキを抱きしめて、「最後までずっと一緒だ」と告げるが・・・
「美女缶」の感想
「美女缶」だなんて、男子の妄想によくありそうなお話だよなあ、と斜めに読んでみましたが、結構イイ話でした。
缶詰の中から出てきた女の子は、自分が偽物の人間だと知らず、母親や友達が記憶の中にたくさんいました。
それが全部ウソ、だとわかったときの絶望。そして、「本物の記憶」は雄太との思い出だけ。
まもなく消費期限が来て、消えてしまうサキですが、雄太とサキは一体どうなってしまうのか。お話のキモなので、この点は伏せておきますね。
「美女缶」、ちょっぴり悲しくて切ないけれども、グッとくるお話でした。