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愛をこうひと(漫画)ネタバレ感想  曽根富美子・下田治美

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曽根富美子・下田治美作の漫画「愛をこうひと」は、実の母親から壮絶な虐待を受けて育ったヒロイン・照恵が、大人になり自らも母親となってから過去を探す旅に出るお話です。

篠原涼子が今冬に日テレSPドラマ「愛を乞うひと」で、虐待する母親と虐待される娘の一人二役をこなすと話題になっています。こちらでは読みやすい漫画版をご紹介します。

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愛をこうひと(漫画)ネタバレ

心と体に残る虐待の記憶

 

照恵は結婚して幸せな主婦となり、やさしい理解ある夫・裕司と明るい高校生の娘・深雪に恵まれました。曇りのない真っ直ぐな心で育った娘を見て、愛おしくかわいいと感じるほどに、照恵は過去に自分を激しく虐待した母親の記憶が蘇ってきます。

母親の虐待に耐え切れずに逃げ出し、当時仕事先の上司だった夫が照恵の事情を知りながら結婚して守ってくれたおかげで、照恵は今の幸せを手に入れたのです。

生まれたときから愛しさでたまらなかった深雪という娘の存在。自分の娘を痛めつけることができる母親の存在を、どうしても理解できない。照恵の背中には虐待のあとが深く刻まれており、ちょっとした物音にビクついたり、ぼんやりと立ち止まってしまうことがありました。

 

照恵が受けた地獄の虐待

 

どんな過去があったとしても、今は幸せなのに・・・照恵の過去が動き始めたのは、夫が仕事で北海道へ赴任して父親の親戚と連絡がとれてからでした。そして弟の武則が交通事故にあったという連絡を受けてからです。

過去の虐待がフラッシュバックする照恵。まだ幼い少女だった照恵は施設に預けられており、母親が迎えにきてから地獄が始まりました。

つんつるてんな体に合わない洋服を着せられ、まるで奴隷のように買い物から食事の支度、掃除洗濯をさせられる毎日。

 

ちょっとしたことで母親は照恵に罵声を浴びせかけ、髪をひっつかみ暴力をふるう。

満足に食べさせてもらえずに骨と皮ばかりになりながらも、必死に母の機嫌をそこねまいと尽くしながら、定期的にせっかんされることを受け入ればければなりませんでした。

近所の人たちは照恵への虐待を知って止めようとしても、母親を止めることができずに結局、見て見ぬふりをするしかなかったし、警察がきても「ころんだ傷」だと言わされて誰にも助けてもらえない。

 

弟は照恵のようにひどいせっかんをされずに可愛がられてはいましたが、照恵への暴力を見せつけられて、ものに対して無感覚な大人になってしまっていました。

母親が実の子供たちに残した深い心の傷。それは子供たちが大人になってからも、決して癒えることなく残っていたのです。

 

北海道へ行き、逃げた過去に向き合う

 

運良く大人になって逃げ出して夫と結婚したものの、虐待の傷跡を完全に癒やすためには過去と向き合わなければならないと照恵は感じるようになります。そして夫が亡くなった父親を知る人と会い、照恵は北海道へ過去を探す旅にでます。

照恵の記憶の中では父親である義雄は、とてもやさしい男性でした。母親のトヨ子は食堂の看板娘で、義雄は工場で働いていて知り合います。

積極的にトヨ子は義雄を誘いますが、義雄がなかなか一線を超えられないうちに、トヨ子が裏通りで男たちに襲われる事件が起こってしまいます。それに責任を感じた義雄がトヨ子と結婚し、二人の間に照恵が生まれたのです。

 

しかし結核になった父は働くこともできなくなり、トヨ子は夜の商売をして浮気をし、娘に八つ当たりするようになります。父はそのまま病気で亡くなり、照恵は施設へ入れられたのでした。

聞かされた父親の人生は、まるで苦しむために生まれてきたかのようなもので、照恵は涙しますが、義雄を知る親戚が「周りの人の幸せばかりを考えている心の綺麗な人だった」と言って、その心が照恵にも受け継がれていると救われます。

 

無垢な娘の心に芽生える憎しみ

 

照恵とともに北海道で、祖父母の話を聞いた深雪は、トヨ子の所業のあまりのむごさ、理不尽さに憎しみを感じるようになります。照恵が最も恐れていたのは、人を憎むということを知らない娘の心が汚れてしまうことでした。

照恵への人間とは思えないような虐待の話に、深雪は怒りを禁じ得なかったのです。そして深雪はこっそりとトヨ子のゆくえを調べ回ります。居場所をつきとめて、復讐してやる、と泣く深雪に言葉を失う照恵。

見つけたトヨ子はしなびた老婆になっていましたが、場末のさびれたスナックで馬鹿笑いをしながら生きていました。

多くの人を踏みにじり、娘の心をズタズタにしておきながら、どうしてああも笑って暮らせるのか。照恵は未だ自分が苦しんでいるというのに、罪悪感のかけらも感じさせずに生きている母親に葛藤し続けます。

 

母親と対峙した結末

 

照恵は意を決して、トヨ子のもとを訪ねます。どうして自分を殴って虐待していたのか、と尋ねる照恵にトヨ子はいけしゃあしゃあと「あれはしつけ」だと言います。

結局、母親はまったく変わっていなかった。そして自分が深雪の母親でもある照恵は、「血のつながり」にこだわりすぎていたことに気づきます。

世間一般の通念では「子供を愛しいつくしむ母親が当然」であっても、世の中には「我が子を愛せない母もいるのだ」と気付かされたのです。

 

そして最後の最後に深雪と照恵の気持ちを裏切って、家の金を奪い、どこか遠くへ逃げ出したトヨ子。

けれども照恵の心は不思議なくらいに穏やかでした。

「母親」へ愛を求めるという、いわば執着に似た愛情が綺麗に照恵の中から消え去り、初めて照恵は過去から解放されていたからです。

 

番外編・闇がひらくとき

 

本編のあとにつづくお話です。我が子を虐待した、鬼畜母であるトヨ子の人生の末路が描かれています。汚いアパートの一室でひからびて力尽きようとしている老婆。

かろうじて命が助かったトヨ子は、ホームヘルパーの清田と対話して、過去の虐待をふりかえります。そして清田もまた、虐待をしてしまう母親であり、トヨ子が虐待をした理由を心から知りたがります。

すっかり痴呆がすすんで、醜い姿をさらしながら病院を抜けだしたトヨ子が向かったその先は・・・

 

虐待されて踏みにじられ続けた娘、それは延々と続く虐待の連鎖の中にあり、トヨ子もまたその犠牲者であったことがわかります。

原作の素晴らしさはもとより、曽根富美子先生の画力があってこそ、この漫画は人の心に訴えかける大作となっています。私自身もこれほどひどくなくても、母親から虐待されたことがあり、読んでいて胸がギュッとしました。

自分自身が親から虐待されたという心の傷がある方、あるいは自分の子供に虐待しそうになってしまう、という親御さん、虐待事件に興味がある方に一読をおすすめしたい作品です。

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