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阿部定事件~ふたりの女~(漫画)ネタバレ感想 安武わたる

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安武わたる先生の新作は、「阿部定事件~ふたりの女~」有名な『阿部定事件』を題材にした作品です。

早熟な美しい少女だった阿部定が、ある事件を境に道を外れて放蕩をほしいままにする人生を送り、破滅する。

物語は阿部定の幼馴染だった女性・お栄の視点で語られています。

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「阿部定事件~ふたりの女~」のあらすじ

幼馴染だったお定とお栄

 

時は明治、東京神田新銀町の職人町で育った二人の少女がいました。お栄はしがない左官の娘で不器量で地味な少女。それに比べてお定は、4代も続く畳屋の裕福な娘で、綺麗な着物に美しい顔立ちをしていました。

加えて、男女にあけっぴろげな土地柄もあってお定は早熟な女の子で、好きな男の子を「あたいの好い人」と呼んだり、クラス中の男の子が夢中になるほど。

 

お栄がひそかに好きだった級長の男の子でさえ、お定のことが好きだと言い、「定ちゃんかわいいから」と口では言いながらも、内心では面白くはない。

母親は「なまじ定ちゃんみたいにかわいいと、浮ついてろくな人生を送れやしないよ。あんたは十人並みでよかった。そのほうが、女としてまっとうに生きていける」と、慰めてお栄は「あたしはそんなバカなことしない」と、割り切っていました。

 

定に降りかかる不幸と転落

 

二人の少女は成長し、お定の男あしらいと美しさは変わらずで「銀町小町」と呼ばれ、からかわれていました。

年頃の娘が気安く男と口を利くのは、はしたないこと。「不良娘」と陰口を叩かれても、お定は変わらず、ある日お栄にK大生の彼氏・村井高を紹介してきます。

「彼、あたしの好い人なの」

村井は洗練された上品な男性で、お栄は胸をドキドキさせてときめていたのに、「この人もお定ちゃんのものなんだ」と一気に醒めてしまいます。

 

ヤキモチを焼いたお栄はその場を去りますが、後日、その村井は悪い男で自宅にお定を引き入れ、無理やり襲ってキズモノにしてしまう。

近所中の噂になり、やぶれかぶれになったお定はますます素行が悪くなってとうとう父親に家を追い出され、芸者として売られてしまいます。

 

「まっとうな人生」を送るお栄

 

定が去ったあと、お栄は震災で家と父親を亡くして実家の援助と引き換えに三沢建造という男性と結婚します。

ですが、夫は乱暴な男で姑もキツくて口うるさい人。とうてい、幸せとは言えない結婚生活でした。

子供も二人生まれ、一応は「まっとうな人生」を送るお栄のもとに、風の噂でお定が芸なしの枕芸者として落ちるところまで落ちた、と聞き「浮ついているからそんな羽目になるんだ。自分はまだマシだ」と定を見下してホッとしました。

 

そしてある夜、料亭から連絡が入り夫が暴れていると知って引き取りにいきます。なんとそこでお定と再会。

「すっかりカタギの奥さんだねえ、うらやましい」

相変わらず綺麗なお定は、そう言いつつも自分の人生を恨んだり悲嘆に暮れたりはしていなかった。

芸者から娼妓にまで落ち、生きるためになんでもしてきた、というものの、親身になってくれる男がいて店をもたせてくれる話になっている、と話すお定。

 

「女に生まれていろいろやなこともあったけど、結局は男に助けてもらってるんだよねえ。あたし」

そして彼女のかたわらには吉蔵という男性がいて、「あたしを愛して大事にしてくれる人」と幸せそうに笑ってお定は去っていきました。

 

「阿部定事件」の結末

 

世間からどれほど「アバズレ」と嘲笑されようとも、「あたしの好い人」と呼べる男性を見つけて、愛し愛される自由な人生を謳歌しているお定を見て、お栄は初めて自分の人生のみじめさに気づきます。

家に帰れば、愛情のかけらもない飲んだくれて暴れるしか能のない夫に、介護で何もかも世話になっているくせに上から目線で叱りつけるだけの姑。ギャンギャン泣いて世話ばかりかける子供たち・・・

 

「これがおっかさんの言ってた、『まっとうな人生』? こんなつまらないものが?」

お定のようなバカな真似はしない、と言い聞かせてきたのに、手に入れたのは「まとも」というだけで何もない、灰色の人生。

新聞で「阿部定事件」が大々的に報道され、その事件の顛末を知ったお栄は「そのろくでもない人生がうらやましくてたまらない」と泣く。

 

「阿部定事件」の感想

 

「阿部定事件」を聞きかじったことがある方なら、ふしだらで奔放な人生を送った末に、愛した男性を「自分ひとりだけのものにするために」世間を震撼させる事件を起こした女性ーーそんなふうに記憶していると思います。

この漫画では「阿部定の幼馴染」という、一歩引いた視点からお話が語られているので、読んでいるとまるで自分が阿部定を幼少期から見守ってきたかのように身近に感じられました。

 

お栄はこれと言って目立つものがない女性でしたが、心の奥底では阿部定の生き方を激しくうらやましい、と願っていました。

「ろくでもない」人生を送ったお定を、「まっとうな」人生を生きたはずのお栄がうらやみの目で見たのは、ひとえにすべての女性が渇望する「一生をかけて愛する人を見つける」ことを阿部定がひたすらやめなかったからだと言えます。

世間の目も気にせず、家族のしがらみも捨てて、本心から自由に愛し愛される男性を見つけて添い遂げたい。「幸せよ、定ちゃんは」と、事件後にお栄が言った言葉にその気持ちが集約されています。

 

多くの人を魅了してやまない「阿部定」というひとりの女性の人生。ただの猟奇犯と見るか、それとも純愛を貫いた女性と見るかは、読む人によって変わるでしょう。

こんなふうには生きられないけれども、たしかにその自由奔放さにどこかうらやみを感じるお話でした。

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